
電子機器の開発において、試作段階での基板実装は重要な工程です。しかし小ロットでの依頼となると、対応可能なメーカーを見つけることは容易ではありません。本記事では、新製品の試作を急ぎたい方や、まずは少数から試したい方に向けて1枚からの超小ロット試作にも柔軟に対応し、高品質な基板実装を実現する優良メーカー3社を厳選して紹介します。
試作基板.com

引用元:https://shisaku-kiban.com/
会社名 | マツイ電子株式会社 |
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住所 | 静岡県磐田市岩井1907-502 |
電話番号 | 0538-37-1312 |
30%以上安価に試作基板を提供可能
同社の最大の強みは、独自の生産体制により市場価格より30%以上安価に試作基板を提供できる点にあります。これは海外工場との直接取引や、効率的な生産管理システムの導入によって実現されています。また、部品調達から基板製造、実装まですべての工程を自社で管理することで、中間マージンを削減し、顧客に還元する仕組みを構築しました。
価格の安さだけでなく、納期の短縮にも成功しており、通常2週間かかる試作基板を最短5営業日で納品することが可能です。このスピード感は、開発サイクルの短縮を求める企業にとって大きなメリットとなります。
特殊基板にも対応できる
試作基板.comは、一般的なFR-4基板だけでなく、高周波基板やフレキシブル基板、メタルコア基板など、特殊な材質や仕様の基板実装にも対応しています。とくに高密度実装技術に優れており、0402サイズの極小チップ部品や、0.3mmピッチのBGAパッケージの実装も可能です。さらに、両面実装や多層基板への対応力も高く、最大16層までの複雑な基板構造にも対応します。これらの技術力により、医療機器や通信機器、車載機器など、高い信頼性が求められる分野の試作開発をサポートしています。
技術スタッフによる設計段階からのコンサルティングサービスも提供しており、製造性を考慮した最適な基板設計の提案も可能です。
株式会社古賀電子

引用元:https://www.kogadenshi.co.jp/
会社名 | 株式会社古賀電子 |
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住所 | 神奈川県平塚市東真土 2-5-3 |
電話番号 | 0463-51-3345 |
1枚からの基板実装が可能
同社の最大の特徴は、基板1枚からの超小ロット実装に対応している点です。多くの実装メーカーが最低ロット数を設定する中、古賀電子は試作段階の顧客ニーズに応えるため、1枚単位での受注体制を整えています。これを可能にしているのは、段取り替えの効率化と、熟練技術者による手実装技術の組み合わせです。自動実装機と手実装を使い分けることで、小ロットでもコストを抑えながら高品質な実装を実現しています。また、部品の調達サービスも提供しており、顧客が用意できない部品についても代行調達が可能です。
納期についても柔軟に対応し、特急案件では最短翌日納品の実績もあります。このような体制により、研究開発部門や大学の研究室など、少量多品種の試作を必要とする顧客から厚い信頼を得ています。
高度な専門的技術と頭脳をもつ集団
古賀電子の技術陣は、電子回路設計から基板実装まで幅広い知識を持つエンジニアで構成されています。社内には電子機器組立技能士1級保持者が複数在籍し、IPC規格に準拠した高品質な実装を提供しているのです。また、定期的な技術研修により、最新の実装技術や品質管理手法を習得し続けています。とくに注目すべきは、顧客の設計図面を見て製造上の問題点を事前に指摘し、改善提案を行うDFM(製造性考慮設計)サービスです。
これにより、試作段階で量産時の課題を発見し、手戻りを防ぐことができます。さらに、X線検査装置やAOI(自動外観検査装置)を導入し、目視では確認困難な実装不良も確実に検出する体制を整えています。
双和電機株式会社

引用元:https://www.sowa-denki.co.jp/service/mounting/
会社名 | 双和電機株式会社 |
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住所 | 京都市伏見区下鳥羽北ノ口92番地 |
電話番号 | 075-622-3330 |
平均ロット約20台、年間約4,000機種の製作実績
双和電機の特徴は、平均ロット数約20台という少量生産に特化した生産体制にあります。年間約4,000機種という膨大な品種数の実績は、同社の柔軟な対応力を物語っています。この実績を支えているのは、独自に開発した生産管理システムと、効率的なライン切り替え技術です。多品種少量生産では段取り替えの頻度が高くなりますが、同社では作業の標準化と治具の共通化により、切り替え時間を大幅に短縮しています。また、部品管理においても独自のシステムを構築し、4,000種類を超える部品在庫を効率的に管理しています。
顧客からの急な仕様変更にも迅速に対応できる体制を整えており、試作から量産移行までスムーズにサポート可能です。産業機器、医療機器、計測機器など、多様な分野での実装経験を持ち、それぞれの業界特有の品質要求にも確実に応えています。
双和電機株式会社の品質への取り組み
双和電機は、ISO9001認証を取得し、厳格な品質管理体制を構築しています。全数検査を基本とし、目視検査、AOI検査、インサーキットテスト、ファンクションテストなど、多段階の検査工程を経て出荷されます。とくに注目すべきは、トレーサビリティシステムの充実です。使用部品のロット番号から実装条件まで、すべての製造履歴をデータベース化し、万が一の不具合発生時にも迅速な原因究明が可能です。
また、静電気対策も徹底しており、作業エリア全体にESD対策を施し、敏感な電子部品を確実に保護しています。定期的な設備メンテナンスと校正により、常に安定した品質を維持し、不良率は0.01%以下という高い水準を保っています。顧客満足度調査では95%以上の高評価を獲得しており、リピート率の高さが品質の証です。
基板実装メーカーの選び方
基板実装メーカーを選定する際には、複数の観点から総合的に評価することが重要です。まず確認すべきは、設計から実装まで一貫して対応できる体制が整っているかという点です。一貫対応を謳う業者の中には、実際には一部工程を外注しているファブレスメーカーも存在します。このような場合、外注先での品質管理が行き届かず、トラブル発生時の対応が遅れるかもしれません。そのため、全工程を自社工場で完結できるメーカーを選ぶことで、品質の一貫性と迅速な対応を確保できます。
次に重要なのがコストパフォーマンスの評価です。単純な見積金額だけでなく、イニシャルコストの有無や部品調達サービスの内容も含めて検討する必要があります。例えば、イニシャルレスで試作対応が可能なメーカーや、一部の汎用部品を無償で調達してくれるメーカーを選ぶことで、トータルコストを大幅に削減できます。
実績の豊富さも重要な判断基準となります。とおくに自社製品と類似した分野での実装経験があるかを確認することで、業界特有の品質要求や規格への対応力を見極められます。
実績数だけでなく、具体的な事例や顧客の声を確認することも大切です。試作や小ロットへの対応力も見逃せないポイントです。最小ロット数の設定や、納期の柔軟性、急な仕様変更への対応可否などを事前に確認しておくことで、開発段階でのストレスを軽減できます。
また、技術サポートの充実度も確認すべき項目です。設計段階からの技術相談や、DFMサービスの提供、不具合発生時の解析サポートなど、単なる製造委託を超えたパートナーシップを築けるメーカーを選ぶことが、プロジェクトの成功につながります。
品質管理体制についても詳しく確認することが必要です。ISO認証の取得状況、検査設備の充実度、トレーサビリティシステムの有無など、品質を担保する仕組みが整っているかを確認します。
さらに、コミュニケーションの取りやすさも重要な要素です。技術的な相談に迅速に対応してくれるか、進捗状況を適切に報告してくれるかなど、日々のやり取りのスムーズさが、プロジェクトの効率性に大きく影響します。
これらの要素を総合的に評価し、自社のニーズに最も適したメーカーを選定することが、成功への第一歩となります。