
はんだ付けの1つの工程であるフローとリフロー。名前は知っているけれど、それぞれの明確な違いが分からないという人もいるかと思います。本記事では、フローとリフローの違いと特徴を詳しく紹介していきます。普段基板の実装に関わりがないという人にもわかりやすいよう解説するので、ぜひ参考にしてください。
はんだ付けとは
はんだ付けとは、金属を溶かして金属と接着する接合方法のことです。金属同士を繋げる溶接の一種で、溶かすはんだの材質としては鉛とスズの合金がよく利用されています。子どもの頃に学校の授業ではんだ付けを体験したことがある方は少なくないでしょう。学校の授業などで体験するはんだ付けでは、手作業で1箇所ずつ接着を行いましたが、工場のように一度に大量のはんだ付けを実施する必要がある場所では、機械を使用してはんだ付けを行っています。フローとリフローは、どちらも機械によるはんだ付けの代表的な工法です。
仕組み
はんだ付けでは、はんだを加熱して溶かし、部品の端子と基板の導通部分に流し込んで冷やし固めることで接合します。加熱された材料に溶かしたはんだを載せると、液体のように平らに広がり材料の中にはんだが拡散します。はんだの種類
はんだは大きく分けると鉛入りはんだと鉛フリーはんだの2種類に分けられ、用途や環境基準によって使い分けられます。鉛入りのはんだは融点が低くて扱いやすい一方で環境面で問題があることから、現在では鉛フリーが主流となっています。フローとリフローの違いは?
フローとリフローはどちらもはんだ付けの工程の名称です。名前がとても似ていますが、それぞれ全く異なる工程である点に注意が必要です。ここではそれぞれの違いを詳しく紹介していきます。フローとは
フローとは、溶かしたはんだで満たされた容器の上に、はんだ付けを行う基板を通過させる工法のことです。基板を通過させる際に下から溶かしたはんだを噴き上げることで一面まとめてはんだ付けを行います。噴き上げは2段階で行われ、1回目の噴き上げでは確実に接合を行い、はんだが上手く接着できない事態を予防することを、2回目の噴き上げでははんだが隣の端子と繋がる不良を防ぐことをそれぞれ目的としています。
リフローとは
リフローとは、あらかじめ基板の上に印刷された流動性のある半固形状のはんだを加熱して溶かすことで接合する工法のことです。加熱に使用する装置は、内部の温度を制御でき、基板を安定して同じ品質に仕上げることが可能です。それぞれのメリット・デメリットも解説!
フローとリフローには、それぞれ異なるメリットとデメリットが存在します。ここでは、それぞれのメリットとデメリットをまとめて紹介します。まとめてはんだ付けが行える工法と聞くとメリットが大きいように感じるかもしれませんが、どちらも共にデメリットがあるので注意が必要です。フローのメリット
最大のメリットは、短時間で多くの部品のはんだ付けを行えることです。はんだ槽を通過させるだけで、まとめてはんだ付けが行えるため、大量生産が必要な時に適しています。フローのデメリット
デメリットとしては、基板全てをはんだ槽に浸す必要があることからはんだの量の調整が困難なことと、均等・均一にはんだ付けが困難なことが挙げられます。部品の高さや配置次第では、隣の端子と繋がる不具合や上手く接合されない不良が発生する恐れがあります。デメリットをカバーするためには、設計時に部品の配置やパターンを配慮しなければなりません。
リフローのメリット
メリットとしては、精度の高いはんだ付けが可能なことが挙げられます。リフローでは、流動性のある半固形状のはんだを塗布して使用するため、塗布する量の調整が難しくなく、隣の端子と繋がる不具合や上手く接合されない不良が起こりにくい特徴があります。リフローのデメリット
デメリットとしては、スルーホール部品には向いていないこととメタルマスクの設計が必要なことが挙げられます。そもそもリフローは表面実装部品専用の工法であり、部品の足を基板の穴に差し込むスルーホール部品には対応できません。スルーホール実装の部品がある場合には、別の工法を併用しなければなりません。またリフローでは、流動性のある半固形状のはんだを基板に塗るためにメタルマスクという型板を使用します。メタルマスクは基板のパターンに合わせて設計されるため、基板設計の変更が発生すると、マスクも作り直す手間が発生します。